がんがもし1日で簡単に治ってしまったら?
もしそんなことができるなら夢のような話です。
にわかには信じられませんよね?
でもそんな治療法が近い将来実際に導入されることがほぼ確定しています。今日は昨今世界中から非常に期待されているがん治療法についてお話します。
目次
がん細胞がたった1日で消滅?期待の最先端がん治療
この治療法がもし導入されれば間違いなくノーベル賞ものです。
私もさまざまな癌治療法を調べてきましたが、これほどすごい治療法は聞いたことがありません。
この治療法は副作用が基本的にありません。
前アメリカ大統領のオバマさんも2012年の一般教書演説でこの治療法を絶賛し期待するほどです。
がん治療を根本から変えるといわれているこの新治療法とはいったいどんな治療法なのか見ていきましょう。
夢のがん治療法 近赤外光線免疫療法
なにやら聞いたような聞いたことのないような言葉ですね。
近赤外光線免疫療法はアメリカ国立がん研究所で開発された最新のがん治療法です。
この治療法はいままでの常識を覆すやり方でがんを除去します。
従来のがん治療法は、外科手術、抗がん剤などの化学療法、そして放射線治療がメインでした。
この近赤外光線免疫療法はそのどれとも違うやり方でがんを治します。
日本人の研究員である小林久隆さんによって開発されました。日本人にとってはこれまた誇らしいことです。
近赤外光線免疫療法のメカニズム
この近赤外光線免疫療法は、まずがん細胞にだけ特殊に結合する抗体を注射します。
正確には、近赤外線にだけ化学反応を起こす特殊なIR700という物質を抗体にくっつけ、その抗体を静脈注射で体内に送り込むということです。
この特殊な抗体は癌細胞にだけ吸着する性質があります。
この抗体ががんに結合したあとで、近赤外線をがん細胞に向けて照射します。
すると抗体にくっついたIR700が近赤外線によって化学反応を起こし熱を発します。
がんは熱に非常に弱い性質があり、熱くなった癌細胞は次第に破壊されて消滅します。
しかも1日から2日後には腫瘍が消失したり大半が縮小するそうです。
これってすごいですね!
副作用がないなんて。
正常細胞には反応しないので本当に副作用がないそうです。これはすごい。
近赤外光線免疫療法は日帰りが可能
近赤外光線免疫療法を実施するとがん細胞が1、2分でバタバタと破壊されるそうです。
治療はたいていの場合日帰りが可能です。
実際は、事前検査のために入院することがあるかもしれませんが、治療自体は日帰りもしくは1泊程度のレベルで大半はいけるようです。
手術の負担、抗がん剤や放射線のダメージを考えたら本当にありがたい話です。
近赤外線光免疫療法は転移したがんにも効く
これまでがんは転移することが非常に問題となってきました。
特に転移したがんほど強力で抗がん剤に対しても耐性を持ち非常にやっかいな存在でした。
近赤外光線免疫療法は転移がんにも効果を発揮するそうで、、まず破壊されたがん細胞はさまざな抗原を一斉に露出します。
その後、近くにいる健康な免疫細胞たちが、それら抗原を取り込みリンパ球にがんの情報を通達します。
その後リンパ球たちが、どんどん分裂をして転移したがんを探して攻撃しに行くのです。
さらに凄いことに将来的には、これまでがんが増殖することを助けていた免疫抑制細胞である制御性T細胞にもこのIR700を結合させた抗体を
免疫力性細胞に使うことにより、この免疫抑制細胞を破壊するという別の構想もあるそうです。
これができれば、いままでがんへの攻撃を邪魔していた存在がいなくなります。
こうなってくると免疫細胞たちが本来の力をだしてがん細胞を遠慮なくたたくことができます。
こうなってくるとほぼすべてのがんに通用しうる環境が整うのではないでしょうか。
オバマ前大統領が絶賛することも理解できます。
がんの80%から90%は近赤外光線免疫療法で対応可能
近赤外光線免疫療法は、少なくとも腫瘍として存在するがん、つまり上皮がんのタイプにはほとんど効果があるそうです。
腫瘍が3cmを超える場合は内視鏡でがんの塊に直接近赤外線を当てて治療をすることもあるようですが、
手術や抗がん剤や放射線を必要としないとなると標準治療自体がまったく変わってしまいます。
開発者の小林久隆さんによると、2015年4月に米国FDAから臨床試験の認可をうけたそうです。
現在は2~3年後の実用化を目指して臨床試験に入っているそうです。
近赤外光線免疫療法の治療費
こうした画期的ながん治療法が現れることがとてもすばらしいことですが、気になるのは治療費ですよね。
肺がんに効果が高いとして有目になった抗がん剤オプジーボなどの例にあるように、年間使い続けると1500万なんて言われたら無理ですよね。
現時点では、近赤外光線免疫療法の治療費がどうなるのかまったくわからないのですが、少なくとも治療装置はかなり格安な機械なんです。
まあ赤外線を照射する機械ですから安価にできますよね。
装置自体は300万円程度のコストのようです。放射線や重粒子線など数千万から億単位の機械とくらべたら圧倒的な安さです。
この治療のもう一つのポイントであるIR700という物質やそれに使う抗体もごくごく安価なものだそうです。
小林久隆さんによると、従来型のがん治療とくらべてもかなりリーズナブルにはなるそうで、こちらも期待してしまいます。
まあ医療業界がそうさせてくれるかはわかりませんので、なんともいえませんが。。。
まとめ
いかがでしたか?
もう少し掘り下げることもできますが、難しくなるのでこのくらいにしておきます。この夢のがん治療に関しての基本的な知識は大体理解していただけたと思います。
この治療法が臨床を通って私たち日本に恩恵をもたらしてくれることを切に期待します。
これほどの治療法が出てくると、製薬会社は大ダメージを受ける会社も出てくるでしょう。
そういったところからの抵抗が出ないか心配です。でも患者目線で見たら副作用はないに越したことはありません。
ただアメリカの肝いりで行っている研究なので導入は間違いないと思われます。
問題は日本に導入される時期と治療費ですね。
多くの関係者が絡んできて、せっかくの治療法が庶民の手に届かないものとならないことを切に願います。